口唇ヘルペス(いわゆる熱の華)について
[2007.12.14]
小さな水ぶくれがくちびるやその周辺にできる病気で、ほとんどが単純ヘルペスウイルスI型が原因です。熱をだした後にでやすいので、熱の華や風邪の華と呼ばれていますが
風邪以外にも体の抵抗力低下が誘引になります。
[原因]皮膚や粘膜への接触で人から人へうつります。単純ヘルペスウイルスは感染力が強いので、直接的な接触以外にもウイルスのついたタオルや食器などを介しても感染します。
[経過][ヘルペスウイルスⅠ型の初感染は乳幼児期にはほとんど無症状で軽く済んでしまうのに対し、大人の初感染は熱や全身の倦怠感などを伴い、症状が重くなりがちです。初感染ののちにウイルスが、神経節(三叉神経節や脊髄後根神経節)に潜在感染したあと、紫外線、疲労、風邪などによる発熱、外傷などに誘発されて再発します。数年に一度の人から2ー3ヶ月に一度発症する人まで再発までの期間は人によりさまざまです。
[症状]病気が出る1ー2日前に局所の熱感や痛み、かゆみを生じ、その後小水疱を起こします。水疱の中にはウイルスが多量に存在します。数日してかさぶたになるころにはほとんどウイルスは存在しなくなります。
[治療]抗ウイルス薬の内服または外用、もしくは両方で治療します。水疱の出はじめに内服するとよく効果がでます。抗ウイルス薬は皮膚や粘膜で活発に増殖しているウイルスに効果がありますが潜伏期にあるウイルスには効果がありません。神経節に潜んでいるウイルスを完全に排除できないため、今後の再発を予防することはできません。ただし、再発して症状がでている病気を治療せずおいておくと、皮膚で増えたウイルスが再び神経節に戻って、潜伏感染するウイルス量が増え再発しやすくなるので、早めの治療をお勧めします。
[アトピー性皮膚炎のひとでは]皮膚のバリヤー機能が低下しているので発症すると水疱が多発し、発熱や全身倦怠感がでて重症型になることがあり、カポジー水痘様発疹症と呼ばれています。