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爪白癬の治療 ―いわゆる爪水虫―

[2005.10.25]
爪白癬は爪に白癬菌(皮膚糸状菌)というカビの一種が寄生して起こる病気です。白癬菌は皮膚や爪を作っているケラチン組織に寄生します。白癬菌が寄生して病変を起こした部位によって頭部白癬(しらくも)、体部白癬(ぜにたむし)、股部白癬(いんきんたむし)、足白癬(みずむし)、爪白癬などの病名がつきます。 【症状】 爪がにごって分厚くなったり変色、変形したりします。痛みや痒みなどの自覚症状はありません。診断は爪の一部を削って顕微鏡で真菌を証明します。また菌を培養して調べる方法もあります。 【問題点】 1.足の爪が変形が高度になれば、靴にあたって痛み、歩行に支障がでる 2.爪に白癬菌が住みついているため自分の体のほかの部分に感染する 3.他人へうつす感染源になりうる 【治療】 白癬症治療薬には外用抗真菌剤と経口抗真菌剤があります。 経口抗真菌剤 爪の表面はケラチンが密なため白癬菌は表面より少し下層を侵します。そのため表面から外用剤を塗ってもなかなか効果が出ないため、最近では経口抗真菌剤治療が行なわれます。古くから用いられたグリセオフルビンは抗菌力が低いため最近ではあまり用いられなくなっています。現在、次の2剤が一般的にはよく投与されています。イトラコナゾール(イトリゾール®)はパルス療法という投与法で、1週間内服後3週間休薬するという方法を3クール行ないます。テルビナフィン(ラミシール®)は連続で内服する薬です。いずれを選択するかは、併用している他の薬剤や基礎疾患によって決まる場合もありますが、ライフスタイルによる飲みやすさや薬価などから、患者さんの希望になるべくそいたいと考えています。いずれも高い有効性が証明されていますが、どちらかの薬剤で完治しなかった場合にもう一方に変更することもあります。またいずれの薬剤でも、万が一副作用出た場合に早期に発見するために、投与前と投与中の血液検査を行ないます(血算、肝腎機能など)。白癬菌に冒された爪が生えかわるまでの期間は、手の爪で約3~4ヶ月、足の爪で約6ヶ月かかります。 外用抗真菌剤 肝障害や腎障害など血液検査で異常がある場合は外用剤治療となります。この場合、内服ほど効果がでないことまた長期にわたる外用が必要になります。また十分に治癒しないことも多く、現状より悪くならないことが目標になる場合もあります。単に外用するだけではなく爪を軟らかくする尿素軟膏を重ねて塗ったり、分厚い爪をやすりで削ったりする工夫も外用剤の浸透効果を高めます。
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